Tour de Okinawa

ツール・ド・おきなわ2013 参戦記 – レース編

【レース情報&形式】
大会  :第25回記念「ツール・ド・おきなわ2013」大会
クラス :市民210km
【コース】

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朝4時前に起床し、食事を摂る。
この日だけはホテルも朝4時半からレストランを開けてくれているのが有難い。ホットケーキ、パン、フルーツ、ソーセージなど今日必要になるであろうカロリーをせっせと詰め込み、悩んだ挙句、車で最寄りの名護漁港まで行くことにした。
レースの準備をし、会場に到着すると今まさに夜が明けようとしている中、多くの参加者が既に準備を整えていたようだ。今回参加する市民210kmはアマチュアロードレーサーの中では、まさにNo.1を決める大会と位置づけされており、プロと同じ厳しいコースを走れることで有名だ。自分は初参加ではあるものの、完走のみならず、可能な限り早い着順でゴールしたいと意気込んでいた。

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トイレに行っている間に隊列が動いたで一度自転車だけ取り残されていたが、レース開始時点では全体の真ん中程に位置取りをしてスタートの号砲を聞くこととなった。

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レース序盤から454人の大集団は大きな声を掛け合いながら進み、カーブや道幅が狭くなる所でも比較的順調にこなして行った。名護市内を抜け、美ら海水族館の前を通ってこの大集団は時には時速50km/hを超えるスピードで進んでいく。暫くすると自分の後方、左前、そして右側で3回の落車を目撃(正確には後ろは分からないので2回であるが・・)した。落車のタイミングは集団が分裂したり、絞れたりする事が多く、この辺りから未だに大集団ではあるものの、前も少し開けるようになって自分の走る位置を順調に上げていくことができた。
国頭村へ向かう道を北上するころには、遂に先頭近くまで位置を上げ、数回は先頭を引くことも出来た。この位置でずっと展開出来るだけの力があれば良いが、自分は初参加の未熟者。少し後ろに下がって来たるべき普久川ダムへの登りに備えて足を溜める。
スタートから約70km。
ここまでの平均速度は42.5km/hで遂にレースの明暗を分ける普久川ダムへの登りへと差し掛かった。
ここで先頭から遅れると完走すら危うくなるという色々な方からの意見もあり、必死に喰らいつくが序盤の緩斜面は良かったが、勾配が10%を超える箇所も出てきて、遂に切れてしまった。。「自分のレースはここで終わるのか?」と1人自分のペースを守って登っていくと、意外に前には同じカテゴリのゼッケンを付けた選手が目に入り、落ちてくる者もいた。1人ずつ抜いて順位を上げて、普久川ダム前のHCポイントに差し掛かる頃には小集団が出来ていた。その後の給水を経てダウンヒルに入ると前の方に別の小集団がいたので、程なく吸収。約20人いるこの集団は第2集団なのだろうか。。。
そして、辺土岬へ向かうアップダウンが多い道で遂に自分の右足ふくらはぎが悲鳴を上げた。そう、攣ってしまったのだ。これまでヒルクライムレース、ツール・ド・北海道でも攣りそうになったことはあっても、攣ったことは無い。こうなると下りはまだ良いが、登りと平地で踏み込むのが辛く、前に行くにも行けないという状況で、周りにも少し迷惑を掛けてしまった。
ペダルの上に立ったりとふくらはぎの攣りを収めて、辺土岬を超え、沖縄最北端をぐるりと周回した後は、2回目の普久川ダムまでは主に下りと平坦貴重で集団はローテーションをしながら、進んで行った。
スタートから122km。2回目の普久川ダムへの登りが始まった。この時、先頭集団との差は7分程度に開いていたようだ。
自分の体は今までに体験したことの無い苦しさを味わっていた。右ふくらはぎの次は、左ふくらはぎが攣り始めた。ダンシングをしようとすると、大腿四頭筋が攣りそうな予感。ギアの調子が悪く、38-25Tという一番使いたいギアが使えずに23Tを多用していると、遂にハムストリングが攣った。

こうなると勾配が緩い所でも最早踏み込むことすら出来ず、順位をどんどんと落としていく。久しぶりに10km/hを下回る速度でのヒルクライムだ。元居た集団から遅れ、一人旅かと思いきや、周りには自分と同じように苦しさに喘いでいる方が多くいた。「自分だけが苦しい訳じゃない。攣っている訳でもない」と実感したことで、体的には死に体だが、心には元気が出てきた。2回目のHCポイント、補給を過ぎると今度は東海岸までダウンヒル、そして南下を始める。
「本当に楽できるところが少ない」というのが、まさに満身創痍な自分が思ったことだ。一旦下りきってからは、今度は勾配もそこそこある急な登りを200m程登る。そして遂に両足の内股付近の筋肉が攣った。骨盤にかけても攣っているので、腸腰筋が攣ったものだと思われる。腸腰筋が攣るということは、ペダリング的には良いのかもしれないが、ふつうはこんな所攣らないだろう。生まれて初めてふくらはぎ以外の場所を攣った今回、登坂区間での脚はもはや拷問とも言える痛みとの戦いであった。
見かねた方が塩をくれた。ポケットに入っていたアミノバイタルを飲み、もはや固形物は取れない状況になっていた胃にパワージェルを流し込む。下りと平地でストレッチや脚を使わずに疲労回復に努めていた矢先、後ろから同じカテゴリの集団が抜いていった。「この集団に乗らなければ完走は無い」、攣りながら脚を使って集団に合流した。
その後も下りと登りを繰り返しながら集団は進んで行くが、向かい風と全員満身創痍な状況もあり、30km/hを下回る速度での巡航状況も多々あった。誰もが限界なのだろう。集団は「何とか完走する」という一つの目標を持って、黙々と走り続けていく。
今日は11月なのに30度を超えるような暑さだった。これもあってボトル×2は既に空っぽだった。最後の補給でボトル×2本を受け取り、残り25㎞を切ったところで、国際女子のトップ争いの二人に追い越された。一人はヒルクライムでも有名な金子広美さんだった。100㎞という距離もあるだろうが、満身創痍の集団には同じ速度で走れるだけの余力は無く、潔く見送っていよいよ最後の大きな登り坂に差し掛かった。
この頃には脚の攣りも少し収まり始め、無理に踏んだり回転させなければ周りに付いていける速度で走れるようになっていた。標高差約100mの坂を上り、トンネルを抜け、羽地ダムを超えて最後の足切ポイントである川上の関門を越えた時、集団では歓喜が起こった。隣の選手と握手をするものもいる。そうだ、この関門を越えた人間にだけ「完走」の資格が与えられるのだ。
資格を手にした集団は10人前後に絞られていた。後は下り貴重の道を朝出発した地点に向けてひたすらペダルを漕ぐだけだ。満身創痍の集団にも最後の力がよみがえり、巡航速度も上がった。と言っても自分の脚はもはや重り以外の何物でも無い状況であったが。
残り2㎞、1㎞と集団はペースを上げながら最後の直線に戻ってきた。 「最後の力を出してやれ!」、距離は長いがアタックをかけた。残り500mまでは先頭、だがその後は集団全員に抜かれて最後は力尽きながら1人遅れてゴールした。

周りの選手と健闘を称え合い、握手をしてから計測チップを返却した。フラフラと歩いていると北海道でもお世話になったJINさんに声をかけられた。沖縄でも会いましょうと約束していたのだが、向こうから見つけてくれたようだ。話すのもしんどく、JINさんに促されるままジュースを流し込んで芝生近くで横になった。
「本当に疲れた」 これ以外の感想は何もない。1時間ほど横になってようやく起き上がったが、JINさん達は居なくなっていた。探してみたが居なかったので、恐らく帰ったのだろう。ちゃんと挨拶できなくて申し訳なかったな。
その後リザルトが貼り出されているということで確認しに行った。順位は106位。ただし最後一緒にスプリントした選手達が96位から着についていたので、順位はあまり気にならない。それよりも完走できたことが何より嬉しい。
更にリザルトをよく見ると、本日出走した選手が454人いたのだが、完走できたのは最終的に146人であったという事実を発見した。実に300人以上は完走すら出来なかったのだ。。聞きしに勝る関門での失格選手がこれだけいるのもこの大会ならではであろう。だからこそ、この厳しいレースを目指して頑張る市民レーサーも多いのかも知れない。

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その後は、同じく北海道で同じ宿に宿泊されていたパティーさんに声をかけてもらった。今回は残念ながら完走はできなかったそうだが、JCRCでも今後もお会いすると思うので、今後ともよろしくです!
記録書をもらって4時からは「ふれあいパーティー」では豚の丸焼き、おでん、沖縄そばなどの料理が主催者側から振る舞われた。ソフトドリンク、ビールももちろん無料である。

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美味しい食事に舌鼓を打ち、車ということもあったので、オリオンビールの缶を多数ポケットに入れて名護漁港に泊めてある車まで自転車を走らす。ペダルを漕ぐだけで筋肉が悲鳴を上げている。やはり相当酷使したようだ。。
帰宅の準備の為に、輪行バッグに自転車を収納し、ホテルへ戻ってオリオンビールを飲みながらこのブログを書いている。長い長い1日が終わろうとしている。そして今までに無い至福の時間を迎えていることに幸せを感じた。

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市民210km 公式リザルト
順位      :106位(出走:454人, DNF307人)
距離    :210 km
タイム ::6:09:54.569
平均時速:34.06 km/h
TOP差:38:34:37

Garmin記録

距離
205.92 km
タイム
6:09:20
平均スピード
33.5 km/h
カロリー
3,688 C
平均気温
26.2 °C
最高速
75.8 km/h
平均心拍
158 bpm
最高心拍
181 bpm
高度上昇値
2,595 m
高度ロス
2,592 m
MinElevation
2  m
MaxElevation
339 m
平均バイクケイデンス
82 rpm
最高バイクケイデンス
134 rpm

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コメント

    • O2 I沢
    • 2013年 11月 10日

    完走おめでとうございます!
    210キロで完走できればかなりのレベルですよ。かなり先に行かれてしまった気分です。ブログを拝見してかなり刺激を受けてます。次に同じレースに出るときはいい勝負ができるよう練習を積んでおきます。

    • Snufkin777
    • 2013年 11月 10日

    >O2 I沢さん
    ありがとうございます。素直に完走は嬉しいですが、やっぱりレベルが高いですね~。長距離と何回も繰り返されるアップダウンで脚は終わってしまいました。。。自分がレベル的にはどの程度なのかは分かりませんが、I沢さんは今後もお互い切磋琢磨する仲ですから、今後のレースでもよろしくお願いしますね。
    PS
    O2ジャージの方数人見かけましたよ~。来年度は是非参戦してくださいね~。

  1. Snufkinさんほどの実力の方が死ぬ気で完走を目指す!って本当に過酷なレースなんですね。ブログの行間に汗と血が滲むのが感じられるほどです。
    沖縄だから観光ブログを読む気分になりますといったのは、ただちに取り下げます。死力を尽くすってこういうことなのだろうと思いました。ほかのスポーツの場面でも同様のことが当たり前のように起こっているのでしょうが、スポーツと無縁の世界で生きてきた僕には計り知れないことでした。
    そして、脚が痙攣してから走り続けるのも僕には想像外のことです。脚が攣ったら自転車を降りて休むほかないと思ってましたが、だましだまし以上の負荷をかけて走り切らなければならないのがレースなんですね。さもなければDNFを覚悟するしかない…
    落伍者が多い中完走を果たし、しかも見事な成績でしたね。
    もう一度、おめでとうございます!そしてお疲れさまでした。

    • Snufkin777
    • 2013年 11月 11日

    >shimaさん
    攣りながら走ったのは自分も初めてですよ~。
    今までレース中に攣ったことは無いので初めての経験です。でも120km以上もアップダウンを含めてNon Stopで走ってきたからこそ、初めて今回のような症状が出たんでしょうね。そういう意味では、もっと長い距離を走って慣れておくべきだったのかも知れないです。
    楽しいファンライドも大好きですが、今回のようなサバイバルマッチも大好きなので来年度は今回以上の成績が出せるように頑張りたいですね。その前に景色を楽しみながら、沖縄をサイクリングしたいですが(笑)

  2. いや~すごいっ!!
    朝からブログを読んでて興奮してしまいました!!
    凄い、さすが素人最高峰のレース。そして
    それを完走する男!!カッコイイっす(^-^)/
    ドラマチック過ぎて涙でそう~

    • シクロ
    • 2013年 11月 11日

    完走おめでとうございます。
    すごい事ですね!でも北海道の記事を読んでいて、Snufkinさんなら行けそうだな?って勝手に思ってました(^^;;。でもすごいことにはかわりません。アマ最高峰のレース完走はすごいです。お疲れ様でした!
    セオフェスで走り拝見するの楽しみにしてます。

  3. ブログを読んで行くたびに、段々苦しくなっていきましたw
    最後のあたりに来ると、よくこの状態で走れたなあと思うと同時に、スナフキンさんがこれまで苦しむ沖縄は相当厳しいレースだと感じました。
    っていうか、完走したんですね。最後の感想の記事をみて自分の事のようにホッとしました。
    スナフキンさんが100%満足する結果であったかどうかは分かりませんが、すごく良い結果だと思いますよ。
    おめでとうございました!!!!

    • Snufkin777
    • 2013年 11月 11日

    >チネオさん
    涙はさすがに出ないでしょう(笑)
    チネオさんは2015年出場目指してますので、是非一緒のステージで走れることを願ってますよ。
    完走は、、正直ホッとしてます。。。

    • Snufkin777
    • 2013年 11月 11日

    >シクロさん
    今回は完走率が30%で昨年は60%。タイム自体は足切りにはならないですが、去年だと結構順位は後ろだったようです。原因はかなり豪快な落車が数回(バイクと人が本当に1回転してた強烈なものでした。)発生して後ろの集団が分裂されたこと、11月なのに30度近くの気温で脱水症状になる人が多数いたからでは?と思ってます。
    自分なんて、まだまだなので、走りを見ても参考にはならないと思いますよ(笑)
    でも、セオフェスではようやくお会いできますね。楽しみにしています?。

    • Snufkin777
    • 2013年 11月 11日

    >dorokeさん
    もし脚が攣らなかったら、もっと速く走れていたのは間違いないのですが、この距離と負荷だからこそ脚も攣るんですよね。そういう意味では走れる体が出来上がってなかったので、今後は克服したいところです。
    ただし、ここ最近のレースですら超えなかった心拍170を軽く超え、遂に180以上にまで跳ね上がっていたところからも、相当心配的な負荷は大きかったですね。(苦しくは無かったのですが)
    今回自分が完走したことで、dorokeさんも完走の目処が立ちましたよね?(笑)
    自分自身の記事を残すべく、来年は是非一緒に参加しましょう?。

    • state
    • 2013年 11月 11日

    snufkinさんが腸腰筋(!)を攣るなんて想像を絶するサバイバルレースすぎます。。鳥肌立ちました。完走おめでとうございます!&本当にお疲れ様でした。
    以前テレビで片山右京氏が完走を果たすところが放映されていましたが、右京氏もめちゃくちゃ苦しそうでした。。(あの苦しみの意味がやっとわかりました)
    どうぞゆっくり疲れをいやしてください!

    • Snufkin777
    • 2013年 11月 11日

    >stateさん
    腸腰筋って本当に攣るんだろうか?
    書いてみて後で胡散臭さに気づいてますが(笑)
    自分が脚が攣って走るという経験が無かったこともあり、かなり辛かったですが何とか騙し騙し走り切りました。次回はゴールまで疲れは合っても攣らないぐらいでゴールしたいです。。。

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