日本の中には行きたいと思っても中々いけない場所がある。これまでにも何度か走りに行きたいと思いながらも行けなかった場所、それが新潟県と福島県境に位置する只見線に沿った辺りである。いわゆる、「秘境」と呼ばる場所で人が簡単に訪れることができない場所。只見線というローカル線自体が既に魅力ある鉄道だったが、東日本大震災の発災と 新潟・福島豪雨による被災で只見線が事実上の運転停止となり、さらに秘境度合いが自分の中では増す存在になっていた。
2019年6月、天気予報をみて遂に只見線のあるこの秘境へと行く決心をする。ただ、そこの場所だけに行くのは勿体無いので今回は長野県上田市まで新幹線輪行し、そこから1泊2日での自転車旅で最後は福島から輪行で戻ってくるという信越横断ライドを決行。
初日は長野県上田駅からのスタート。城下町な雰囲気の街からまずは標高が1,600m以上ある菅平までヒルクライム。夏も近づいて暑さも出てくるが標高が高くなると気持ち良い気温、高原を流れる風も気持ち良い。菅平高原はスポーツのメッカなので、今回も多くの運動部?な方々とすれ違った。菅平からは須坂市へ一気にダウンヒル。これまた気持ちの良い下りであったが、途中情緒ある小布施の街を通っている際に、人だかりのあるジェラート店を発見。Uターンしてジェラート店に入り、ここでジェラート休憩。人気店だったようで、とても美味しかった。
小布施から北上して一気に飯山市を目指す。ここでは事前に調べておいた鰻料理店「本多」で並んでも良いので美味しいうな重を食べるのを最大の楽しみにしていた。このおかげもあってか、丁度昼前に到着し、それほど並ぶことなく無事にメインのうな重を頂く。そのお値段何と4,500円と昼食としては破格の豪華さだ。これも日本の色々な地域から集めてきた国産うなぎを食べれること、料理に場所、そして雰囲気も全てコミの値段ということで自分に言い聞かせながら、十二分にうなぎを味わって至極幸せでした。
近くには道の駅花の駅千曲川があるので、そこに立ち寄って食べたばかりなのにおやきを頂く。菜の花の時期は少し過ぎているが、それでもまだ咲いている所も多く綺麗だった。美味しい食事の後は千曲川沿いに東へと進み新潟県の六日町、そして今日の宿泊場所である魚沼を目指す。途中では素晴らしい景観の場所が数多くあり、所どころで足を止めて写真を撮りながら、夕方には魚沼に到着。目の前には雪が残っている八海山が見えた。そして夕暮れ前に今日の宿である、民宿 治兵衛へと到着。
この民宿は1泊2食付きで7,500円とお手軽な安さだったのだが、入ってみると学生御用達の合宿所のような民宿で数多くの部屋があり、大広間での食事が取れるようになっていた。今回は幸にして自分を含めて他の宿泊者は3-4名程度だったので、風呂の待ち時間もないし夜もうるさくて寝られないということはなかった。ただし設備はそれなりに古いので、インターネットなどのネット回線はない。この民宿、何が一番良かったかというと食事である。夕食も豪華でボリュームがあり、朝食も同様で大満足。さらにお土産にとれたての新米を頂きました。設備に拘りがないならお勧めできる民宿です。
2日目は魚沼の民宿からいよいよ六十六里峠を超えて只見を目指す。
秘境と呼ばれる場所への侵入に心が踊る。国道近くに只見線が走っており、駅舎なども見れるのだが残念ながら今この辺りは災害によって運行が停止中。面影漂うホーム、駅舎そして線路だけが静かに時を刻んでいた。新潟県と福島県境に近づくと一気に上り始めるのだが、スノーシェードも多くこの辺りがいかに豪雪地帯であるかを物語っている。そして六十六里トンネルを超えて福島県側に入った瞬間、目の前の視界が開けた。目の前には雄大な大自然が広がり、いまだに残雪を残した山々、花を咲かせて風に吹かれる高山植物、そしてダム湖などが合間って日本でも有数の景観を作り上げていた。「これを見るために来たんだ」心からそう思えたし、本当に感動した。写真では中々伝わらない、そんな景色と感動の中、ペダルを回して只見市内へと下っていく。
只見市内を越えると福島の猪苗代方面へと山間部の道を進んでいくのだが、この辺りは日本でも数少ない炭酸水が湧き出る場所が幾つかある。今回は大潮炭酸水場へと立ち寄り、本当に炭酸水が湧き出ているかを確かめた。「確かに炭酸水」だった。しかも美味しい。ボトルに炭酸水を詰めて、猪苗代方面へと進むと今度は赤べこで有名な地域に差し掛かり、ここでは名物ソースカツ丼を頂くことに。ソースカツ丼は普通卵で綴じられていないのだが、ここのソースカツ丼は卵で綴じられていた。そして何よりも美味い。これ以上の正義は無い。
旅のハイライトでもある、只見線とお別れをして、猪苗代に入ると大きな猪苗代湖と雄大に聳える磐梯山へ向かってカルデラの淵となる部分をヒルクライム。中々どうして結構上るし勾配もキツいので辛い。。。何とか猪苗代湖に到着し、後はダウンヒルをこなして福島へと向かうのみ。旅もいよいよクライマックスである。
最後は夕方になり、疲れた体に何とか鞭打って駅へと到着。輪行袋に自転車をしまい、駅弁を買って新幹線に乗り込んだ。たった1泊2日なのにもっと旅していたような錯覚だった。それぐらい充実してたのだろう。素晴らしい1泊2日の旅と経験、必ずまた戻ってきたい。
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